窓際FIRE入門⑨|窓際FIRE後のその先は

窓際FIREはゴールではない

これまでこのシリーズでは、資産形成を通じて心の余裕を持ち、働き方や生き方を自分で選べるようになっていく過程についてお話ししてきました。

資産0円だった頃の不安から、100万円、500万円、1,000万円と節目を超えるごとに変化してきた心境の話、そして「窓際FIRE」という、会社を辞めずに心の自由を手に入れる生き方についても、繰り返し触れてきました。

窓際FIREによって、働き方とプライベートの時間を確保できるようになった。

この状態を、そのまま大切に続けていくのも、もちろん一つの正解です。定時で帰り、自分の時間を持ちながら、必要以上に無理をせず働く。この生活に満足しているのであれば、無理に何かを変える必要はありません。むしろ、多くの人が目指したいと感じる理想の状態の一つだと思います。

ただ、窓際FIREは「そこで終わり」ではないとも感じています。

資産形成はその後も続いていきますし、資産がさらに積み上がっていけば、仕事の量をもっと減らせる可能性も出てきます。あるいは、時間の自由度がさらに広がることで、これまで考えもしなかった新しい選択肢が見えてくることもあるでしょう。窓際FIREは通過点であり、その先にどう進むかは、人によって、また同じ人でも時期によって変わっていくものだと思っています。

これからのポイントは「時間の使い方」

窓際FIREを達成して自由になった時間を、どう使うか。生活の満足度を、どうやってさらに上げていくか。ここが、これから先の大きなポイントになってくると感じています。

資産形成のフェーズでは、「どう増やすか」「どう働き方を変えるか」が中心的なテーマでした。インデックス投資の積立を続け、固定費を見直し、副業で入金力を高める。こうした行動は、いずれも「資産を積み上げる」という明確なゴールに向かっていたため、比較的取り組みやすいものだったと思います。

しかし、ある程度の余裕を手に入れた後は「その時間で何をするか」という、より個人的で答えのない問いに向き合う段階に入っていきます。これは正解が一つに決まるものではなく、自分自身と向き合いながら、時間をかけて見つけていくものなのだと思います。数字を追いかけるフェーズから、自分の内側と対話するフェーズへ。この切り替えに、最初は戸惑う人も多いのではないかと思っています。

みなさんはどんな生活を送りたいですか

ここで、読んでくださっている皆さんに問いかけてみたいと思います。

もし今より自由な時間が手に入ったら、どんな生活を送りたいですか。趣味に没頭したい人もいれば、家族との時間を大切にしたい人もいるでしょう。旅をしながら暮らしたい人もいれば、静かに読書をして過ごしたい人もいるかもしれません。あるいは、今まで挑戦してみたかった学び直しや、新しいコミュニティへの参加を考える人もいるかもしれません。

正解はありません。だからこそ、一度立ち止まって、自分がどんな時間の使い方をしたいのかを考えてみる価値があると思っています。忙しい日々の中では、こうした問いに向き合う時間そのものが後回しになりがちです。窓際FIREによって生まれた余裕は、この問いにじっくり向き合うための時間でもあるのだと思います。

楽しむのも、次に進むのも、どちらも正解

窓際FIREで手に入れた生活を、そのまま楽しみ続けるのも一つの道です。焦って何かを変える必要はなく、今の穏やかな日々を大切にすることも、立派な選択だと思います。周りが新しいことに挑戦しているのを見て、焦る必要も一切ありません。

一方で、そこからさらに、個人事業を始めてみたり、小さく起業に挑戦してみたりと、自分が目指したい方向へ進んでいくのも、もう一つの道です。時間と心に余裕があるからこそ、リスクを抑えながら新しいことに挑戦しやすくなるという側面もあります。会社に依存しない収入源を作ることは、さらなる自由につながっていく可能性も秘めています。

大切なのは、「こうあるべき」という型にはめないことです。窓際FIREという生き方の先に、それぞれの人にとっての「自分らしい続き」があっていいのだと思います。誰かの成功例をそのまま真似る必要はなく、自分にとって心地よいペースと方向性を、じっくり見つけていってほしいと思います。

窓際FIREは、自由に生きるための土台をつくる第一段階にすぎません。その先に何を選ぶかは、人それぞれです。今の生活を楽しみ続けるのも、新しい挑戦に踏み出すのも、どちらも間違いではありません。

自由になった時間をどう使い、どう満足度を高めていくか。この問いに、これからも僕自身向き合いながら、少しずつ答えを見つけていきたいと思っています。

目次

資産形成は人生の選択肢を増やしてくれる

選択肢を増やすための資産形成

これまでこのシリーズで繰り返しお伝えしてきたのは、資産形成そのものがゴールなのではなく、資産形成によって「選べる状態」をつくることが本当の目的だということです。

嫌な仕事を断れる。定時で帰れる。評価を気にしすぎずに働ける。出世するか、しないかを自分で選べる。健康を優先できる。こうした選択肢の一つひとつは、資産という土台があることで初めて手に入るものです。資産形成は、人生の選択肢を増やしてくれる、とても心強い手段だと感じています。

お金そのものが幸せをくれるわけではありません。それでも、お金があることで「不幸を避けやすくなる」「自分の意思で選べるようになる」という側面は確かにあります。この積み重ねが、結果として自分らしい人生につながっていくのだと思っています。

頑張りすぎるあなたへ

ただ、ここで一つ、伝えておきたいことがあります。それは、資産形成のために「今」という時間を犠牲にしすぎないでほしい、ということです。

今という時間は、どれだけお金を積み上げても、決して取り戻すことができません。資産は後からでも積み上げ直すことができますが、過ぎ去った20代、30代の時間は、二度と戻ってこないのです。

僕自身、20代の頃、資産形成に夢中になりすぎていた時期がありました。
少しでも早く、少しでも多く資産を増やしたいという思いから、遊びや休息、大切な人との時間を後回しにしていたことがあります。当時は「将来のため」だと信じていましたが、振り返ってみると、あの頃にしかできなかった経験や、あの頃の自分にしか味わえなかった時間を、知らず知らずのうちに手放してしまっていたのだと気づきました。

資産形成は、将来の自由のために大切な取り組みです。しかし、その将来のために、今この瞬間の人生を犠牲にしすぎてしまっては、本末転倒になりかねません。同じ後悔を、これを読んでくださっている方には味わってほしくないと思っています。

頑張ること自体は素晴らしいことですが、その頑張りの矛先が「今の自分を犠牲にすること」に向いていないか、時々立ち止まって確認してみてほしいと思います。

選択肢を増やしながら、今も大切にする

大切なのは、資産形成と「今」を天秤にかけて、どちらかを選ぶことではありません。

無理のない範囲で資産を育てながら、同時に、今しかない時間や経験も大切にしていく。このバランス感覚こそが、本当の意味で「豊かな人生の選択肢」を手に入れる方法なのだと思っています。

資産形成は、未来の自分に選択肢を残すための手段です。ですが、その未来の自分が、今の自分を犠牲にした過去を後悔するようでは、意味がありません。

今を楽しみながら、未来にも選択肢を残していく。その両方を、少しずつでいいので大切にしていってほしいと思います。

窓際FIREという生き方も、資産形成という取り組みも、あくまで自分らしい人生を送るための手段です。手段が目的にすり替わってしまわないよう、時々立ち止まりながら、これからも自分にとって心地よいバランスを探していきたいと思っています。

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